[アップデート]Amazon Connectのフローに、SMS送信用のブロックが追加されました
はじめに
Amazon Connectのフローに、新たにSMS(ショートメッセージサービス)送信用のブロック(ブロック名称「メッセージを送信」)が追加されました。
このブロックを利用することで、Amazon Connectから顧客の携帯電話にSMSを送れるようになります。
AWSドキュメントでは、この新機能の利用シーンとして以下の3点を挙げています。
- 音声での問い合わせを、SMS 問い合わせ(SMS チャット)に切り替える
- 終話後、簡単なアンケートや、Web ページへのリンクを送信する
- ケースやステータスに応じて、顧客が返信して詳細を問い合わせることができるようSMS チャットを開始する
これらのシーンのうち、Amazon Connectでよく利用されるのは、2点目の「なんらかのメッセージをSMS送信する」という片方向(単方向とも呼ばれる)の送信だと思います。
対して、1点目と3点目は双方向でのコミュニケーションが可能です。
従来、Amazon Connectのフローで片方向のSMS送信を行う場合、以下の記事で説明しているように、AWS Lambda関数を呼び出すブロックを用意し、その Lambda 関数内で SNS サービスを使用して SMS メッセージを送信する必要がありました。
今回のアップデートにより、Lambda関数の実装なしでSMS送信が可能になりました。
SMS送信用のブロックを設定するだけで済むため、コード開発が不要になるなどのメリットがあります。ただし、後述するように、コストなどの注意点もあります。
「メッセージを送信」ブロックを確認する
「メッセージを送信」ブロックを使用するには、以下の項目を設定する必要があります。
- 送信元電話番号
- メッセージの送信元の電話番号
- 送信先電話番号
- メッセージが送信される電話番号
- メッセージ
- 送信されるメッセージ
- フロー
- 作成されたアウトバウンドコンタクトを処理するAmazon Connectフロー
- コンタクトへのリンク
- 作成されたアウトバウンドコンタクトを、フローを開始したインバウンドコンタクトにリンク可能
これらの設定項目のうち、「フロー」と「送信元電話番号」については、以下で詳しく解説します。
フロー
どのようなフローを設定すればよいか解説します。
「メッセージを送信」ブロックを利用すると、受信者にはSMSが送信されますが、StartOutboundChatContact API
によってチャット問い合わせが開始される仕組みになっています。
したがって、SMS メッセージの送信後に受信者とエージェント間で双方向のコミュニケーションが必要な場合は、通常の問い合わせと同様に、キューへの転送などを含む問い合わせフローを指定する必要があります。
一方、単に片方向のSMSメッセージを送信するだけで、エージェントとのやり取りが不要な場合は、メッセージ送信後すぐに問い合わせを終了する簡潔なフローを設定します。
送信元電話番号
「メッセージを送信」ブロックを使用するには、有効な送信元電話番号を取得し、設定する必要があります。
送信元電話番号の取得方法は以下のAWSドキュメントに手順が記載されています。
注意点として、「メッセージを送信」ブロックで使用できる送信元電話番号は、双方向メッセージングが有効化された電話番号に限定されます。
この制限は、SMS送信の目的がアンケート送付のような一方向のSMS送信であっても適用されます。
日本においては、送信元電話番号としてショートコードのみが利用可能です。そのため、この機能を使用するためには、必ずショートコードを取得する必要があります。
日本におけるショートコードの取得に関する料金と推定プロビジョニング時間は、以下の通りです。
- セットアップ料金 (1 回限りの料金)
- 1,750 USD
- 月額料金
- 1,150 USD
- 推定プロビジョニング時間
- 12 週間
これらの料金と時間を考慮すると、簡単に検証環境で利用できる金額ではなく、また利用開始までに相当な時間を要します。そのため、筆者は検証目的でのショートコード取得を断念しました。
まとめ
今回のアップデートでは、ノーコードでSMS送信可能なブロックが追加されました。
ただし、料金と利用開始までにかかる時間には注意が必要です。
片方向でのSMS送信(例:「アンケートのURLをSMS送信する」)を実装したいケースで、ショートコードの料金が予算に合わない場合は、「メッセージを送信」ブロックではなく、代わりに冒頭で紹介したLambda関数を使用したSMS送信方法を選択することをお勧めします。